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大分市中心市街地の未来図 ― まず羅針盤を定めよう!

大分市が公表した22街区・54街区の利活用アイデア募集には、12の提案が寄せられた。

どれも熱意にあふれ、街を良くしたいという思いが伝わってくる。

しかし、「一番良い案はどれか」と問われると、答えるのは難しい。

なぜか。

それは、「大分市中心市街地はどのような未来を目指すのか」という方向性について、

関係者の共通理解が求められるからだ。

提案書には「交流」「にぎわい」という便利な言葉が並ぶ。

だが、にぎわいとは何か。交流とは何か。写真映えする施設ができれば交流なのか。人が集まればにぎわいなのか。

この問いに答えない限り、未来の街の姿はぼんやりしたままだ。

車で知らない土地を走るとき、必要なのはアクセルではない。まず地図かカーナビだ。

まちづくりも同じである。最初に必要なのは、「どこへ向かうのか」を示す羅針盤だ。

 

1.30年後の未来像を共有する

私は、大分市中心市街地が目指すべき未来像として、「転勤先人気NO1の街」、つまり「アジアとつながる多文化経済都市」という方向性を提案したい。

もちろん、大分をシンガポールのように変えようという話ではない。ただ、誰もが具体的にイメージできる都市モデルを置くことで、議論は格段に進みやすくなる。

未来を語るとき、「素敵な街になりたい」では弱い。「あんな街を目指したい」と言えるほうが、民間投資も市民参加も動き出す。

 

2.10年後の姿は「ふらっとよりたくなる国際生活都市」

観光地ではなく、生活の匂いがする国際都市。その象徴となる仕組みとして、私は 「疑似実家ステイ」 を提案する。

日本で暮らす外国人が、まるで故郷に帰省したように過ごせる場所をつくる。母国語が飛び交い、故郷の料理が並び、同じ国の仲間が自然に集まる。そこへ大分市民が、親戚のおじさんやおばさんのように顔を出す。

異文化交流というと難しく聞こえるが、要は「ちょっと変わった親戚づきあい」だ。そんな出会いが街のあちこちで生まれたら、大分は観光地ではなく、“つい寄りたくなる生活都市” になる。

 

3.大分市の課題と、向かうべき方向

今回の募集で見えた課題は、提案の良し悪しではない。みんなが同じ未来を見ていなかったことだ。

大分市が抱える本質的な問題は、若者が未来に期待できない、所得が上がらない、高齢化と人口減少が進むという構造にある。

これを変えるには、「若者の所得が上がる都市構造」 をつくる必要がある。そのための鍵は、「地域資源」 × 「事業化」× 「外部需要の獲得」 である。

大分市には、滞在外国人、観光、天然の良港、製鉄・銅精錬、石油化学、半導体、医療といった強みがある。これらを、外国人コミュニティを介して母国の自治体・企業と結びつける「還元貿易モデル」に発展させれば、外部需要を取り込む産業都市として成長できる。

企業が求めるのは、「従業員が働きやすい環境」である。高速ネット、オフィス・工場用地、住宅、保育、交通アクセス。そして外国人が安心して暮らせる環境は、日本人の若者にとっても魅力的だ。

 

4.先に決めるべきは「何をつくるか」ではなく「どこへ向かうか」

羅針盤が定まれば、民間投資、市民参加、公有地活用、すべてが同じ方向へ進みやすくなる。

まちづくりは建物を建てる競争ではない。未来を共有する作業だ。

大分市中心市街地がどこへ向かうのか。その答えが見えたとき、「にぎわい」という便利な言葉も、本当の意味を持ち始める。

 

(2026.6.3 台風通過後)

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