
「家づくりは何から始めればいいの?」、「家づくりの流れと判断すべきポイントなどを知りたい!」。こんな疑問にお答えします。本記事では、自分ファースト時代の家づくりの流れと、各段階で必要な施主の作業と意思決定の内容を、施主の視点で、わかりやすく解説します。
✔本記事のテーマ
これを読むことで、入居までの期間、段階毎に必要な知識や判断方法がわかるようになります。その結果、家づくりの情報・知識の習得が効率的に行えます。また、失敗しない家づくりのポイントと実施時期、パワーの入れ時・抜く時が事前にわかるので、長期の家づくりを楽しむ余裕が出てきます。
✔本記事の内容
1.住宅は特殊な商品
2.必読の「家づくりの流れ」
3.各ステップのチェックポイント
4.後悔しない意思決定のポイント
5.まとめ
なお、この記事を書いている私は、一級建築士歴40年、コンサルタント歴20年、2015年から住宅雑誌「月刊住宅ジャーナル」に、コラムを連載中です。これまでの経験を踏まえて、丁寧に解説します。
1.住宅は特殊な商品

「家づくりは何から始めるといいですか?」と聞かれれば、「先ずは、家づくりの流れを知ることから」と私は答えます。
「家を建てる」と決めてからでも、入居まで、1年以上かかります。その間、すべてが初体験で、夫婦の価値観も異なる中、さまざまな意思決定を続けなくてはなりません。しかも、専門知識がなくても、自己責任で判断し、決定後は後戻りできません。
さらに、入居後、「こんなはずじゃなかった」と後悔しても、工事ミスなどの瑕疵でない限り、業者は対応してくれません。その上、その後30年以上、住宅ローンを払い続けなくてはなりません。
住宅とは、店舗で売っている商品とは「別のもの」なのです。例えば、サイズが合わなかった洋服は、お店が取り換えてくれますが、住宅は取り換えてはくれません。
それなのに、後悔しやすいのはなぜでしょうか?
2.後悔しやすい理由
家づくりで、後悔しやすい一番の理由は、事前に、意思決定すべき時期と内容をきちんと把握していないからです。判断する知識が圧倒的に少ないのに、突然、専門的な意思決定をしなければならない状況におかれるからです。
それでは、どうすればよいのでしょうか?
それは、先ず「家づくりの流れ」を知らなければなりません。どんな段階で、どんな作業をして、いつ、どんなことを、どのように判断し、決定するのかを事前に掴んでおくことです。
3.必読の「家づくりの流れ」

上の表は、木造2階建て住宅の標準的な流れ(工程)を表したものです。全体の流れは「生活ビジョンづくり」、「出会い」、「契約」、「建設工事」、「入居準備」までの5フェイズ(段階)です。
フェイズ毎に、主な作業内容と意思決定事項をあげました。これによって、家づくりに必要な基礎知識と判断基準が、順序良く、効率的に把握できます。
なお、暮らしのビジョンづくり(情報収集)から入居までの期間は約18ヵ月。業者との出会いから入居まででは、約12.5ヵ月としています。目安として考えてください。
4.各ステップのチェックポイント
各ステップの作業内容と、意思決定事項のポイントを説明します。
ステップ1:情報収集・生活ビジョンづくり

このステップは、家を建てる人(施主)が自分自身で、目指すべき生活ビジョンをつくる段階です。マイホームの実現向かって、自由に夢を膨らませる「一番楽しい時期」と同時に、家づくりの中で一番大事な段階です。
なぜなら、生活ビジョンを実現する環境(舞台)が家だからです。つまり、家の良否・適不適を判断するには、自分と家族が幸せを実感できる「暮らし・生活ビジョン」という判断基準が不可欠なのです。
実は、入居後、後悔している人は、この段階をおろそかにした人が非常に多いのです。
■主な作業内容
□家づくりの流れを知る
□生活ビジョンをつくる
・自分と家族の性格、価値観を知る
・欲しい生活スタイルを知る
・暮らしたい街、住みたい場所を探す
□情報収集
・お金のこと
・住宅業界のこと
・ブログ検索、セミナー参加
□要望書の作成
■主な意思決定事項
□家づくりの目的と目標を決める
・目的とする生活スタイル
・目標とする生活スタイル
□入居日を決める
□総予算の目安を知る
ステップ2:住宅業者との出会い

目標とする生活ビジョンを実現できる家がつくれるかどうかは、「業者選び」にかかっています。このステップは、パートナーとして相互信頼ができる業者を選ぶための活動段階です。モデルルームやオープンハウス、業者を訪問して、前ステップで作成した要望書を渡し、土地の紹介、プランと概算見積の提案などを依頼して回ります。
■主な作業内容
□住宅の種類(建売・規格・注文)を知る
□業者の種別(不動産会社・ハウスメーカー・工務店・設計事務所)を知る
□業者への訪問活動
・無料・有料の業務範囲を確認
・土地相談、資金相談
・プランと概算金額の提案依頼
・訪問記録、対応状況を記録する
■主な意思決定事項
□土地と家の総予算
□土地候補
□業者候補
ステップ3-①:設計委託契約

このステップでは、土地取得と業者選定を行い、設計委託契約を結びます。施主の納得が得られるまで、何度も提案と調整を繰り返しながら、基本設計・詳細設計を完成していく段階です
■主な作業内容
□業者選基準づくり
□土地選定基準づくり
□融資の事前審査
□設計打ち合わせ
■主な意思決定事項
□業者決定、設計委託契約
・設計料、支払い方法の承認
□資金計画
□土地取得
□設計図書の承認
ステップ3-②:工事請負契約
このステップは、設計図書と詳細見積りを承認し、工事請負契約を結ぶ段階です。
■主な作業内容
□詳細見積書の調整確認
□最終図面の調整確認
■主な意思決定事項
□工事請負契約書
・工程表、別途工事、支払い条件
□建築確認申請・許可
□融資申し込み
ステップ4:建設工事

このステップは、着工、中間検査、完成検査、引き渡しまでの工事段階です。
■主な作業内容
□地鎮祭、上棟式
□引き渡し検査
□別途工事の確認
■主な意思決定事項
□引き渡し検査の承認
□引き渡し書類・鍵の承認
ステップ5:入居準備
このステップは、施主工事の発注・完了と引っ越しの段階です。
■主な作業内容
□カーテン、空調取り付け工事
□造園工事
□引っ越し準備
■主な意思決定事項
□引っ越し日時の決定
5.後悔しない意思決定のポイント

どんな意思決定にも、リスクがあります。後悔しない意思決定のコツは、リスクを減らす良い選択を、自信をもって選ぶことです。
そのためのポイントを質問形式でまとめました。参考にしてください。
Q1:何のために、何を決定するのですか?
Q2:なぜ目的が達成できないのですか?
Q3:問題解決の対策案を作っていますか?
Q4:それはリスクを最小限にする案になっていますか?
Q5:このプロセスを踏まえて、選択案を決定しましたか?
6.まとめ:生活ビジョンづくりがスタート!

「給料より休日が欲しい」、「パラレルワークで稼ぎたい」、「転職したい」など、「会社ファースト」より自分の都合や利益を優先する「自分ファースト」の時代になりました。
自分ファーストの家づくりに求められるのは、「短期間でのローン完済」「家で稼げること」、そして一番大切なのは「自分と家族にとって心地よい生活スタイルを実現すること」なのです。
家づくりは「生活ビジョンづくりからスタート」の時代です。