
新築後、お風呂で悩んでいる人が少なくありません。「どうすれば後悔しないお風呂が作れるのでしょうか?チェックの方法を知りたい!」
本記事では、浴室を「入浴スタイル分析法」でチェックする方法を事例とともに紹介します。初心者の施主と専門家が一緒に検討できる「お風呂選びのチェック術」を詳しく解説します。
本記事テーマ
この記事を読むと、入浴の目的と家族それぞれの入浴スタイルの違いが分かるようになります。その結果、それぞれの要望に合った浴室のイメージを明確に掴めるようになります。
なお、この記事を書いている私は、一級建築士歴40年、コンサルタント歴20年、2015年から住宅雑誌「月刊住宅ジャーナル」に、コラムを連載しています。
目次
後悔したくないこと

新築後の後悔で多いのが、お風呂。よく聞くのは次の5つです。
・浴槽や洗い場が狭い、広すぎる
・収納棚や折戸が掃除がし難く、カビが増える
・水垢が目立つカラーを選んだ
・窓の有無の選択ミス
・ヒートショックの危険
ここで質問です。「あなたにとって、お風呂の目的とは何ですか?」
即答できなかったり、回答が上記のような場合は、あなたはお風呂を考えていない人です。
このまま、お風呂選びをすると、一番大切なことを後悔するかもしれません。
では、浴室チェックで、一番大切な事とは何でしょうか?
浴室チェックの3つのポイント

○入浴の目的はひとつ
入浴の目的は、心身をリセットすることです。つまり、不快な気分や体を整え、前向きに気分転換することです。そのために、私たちは体を洗い、湯船に浸かるのです。
○入浴スタイルは人それぞれ
気分転換の方法は、人によって違いますから、入浴のスタイルも違うはずです。
例えば、カラスの行水タイプ、じっくり丁寧に洗うタイプ。浸かり方も、何も考えずボーッとする、瞑想する、音楽を聴く、本を読むなどのタイプがあります。
つまり、入浴スタイルは個々人で異なるのです。したがって、自分と家族の入浴スタイルの違いを知ることが重要になります。
○掃除しやすさも人それぞれ
実は、その人の入浴スタイルには、維持メンテに対する要望も含まれています。つまり、維持メンテを特に考えなくてもいいのです。
例えば、開放的な浴室なら、窓掃除が大変ですが、これを好む人は、少々の汚れは気になりません。逆に、キレイ好きの人は、窓も少なく、オプションの棚なども少なく、材質も汚れないことが浴室の条件です。つまり、掃除しやすいことが入浴スタイルになっているからです。
なお、維持メンテは、浴室のイメージが決まった段階で、詳しくチェックします。
入浴スタイル分析法の紹介

私が開発した『入浴スタイル分析法』の目的は、自分と家族が求める「入浴スタイル」を実現する浴室の設計条件を整理することです。特に、初心者と専門家が一緒に検討できる「浴室選びチェック術」として作りました。
浴室チェックの仕組み
『入浴スタイル分析法』の基本的な仕組みは、家族が望む「心身をリセットする入浴場面=スタイル」とモデル住宅の浴室の空間特性を共通のキーワードで測定し、両方の適合度をチェックし、判定する仕組みです。
分析の共通キーワードは、「楽しむ」,「一人が好き」、「洗う・くつろぐ」、「コミュニケーション」の4つです。
チェックの条件
多忙で、専門知識を持たない施主にとって、「早く」「うまく」「見える化」の3つがチェックの条件となります。
「早く」とは、使用する人の感性で、すぐに直観できること。「うまく」とは、心身の疲れが取れる入浴場面にうまく合っていること。「見える化」は、分析結果をグラフで表して、一目で確認できることです。
チェックの進め方
『入浴スタイル分析法』によるチェックは、4つのステップで進めます。①家族それぞれの入浴スタイルの違いを知ること。②浴室の空間特性を知ること。③入浴スタイルに浴室特性のズレを知り、適否判定をすること。 そして、④浴室づくりへのアドバイスです。
入浴スタイル分析図 B-SARC
上記の結果をレーダーチャート図で表したものが、「入浴スタイル分析図 B-SARC」です。この分析図に描かれた四角形のズレを基に、3と4ステップの適否判断とアドバイスを行います。
入浴スタイル分析法・チェック事例

手順
間取り相談での浴室チェックの例です。先ずは、簡単な質問をして、夫婦それぞれが求める入浴スタイルを予測、確認します。次に、夫婦が選んだユニットバス写真を見ながら、浴室空間の特性をチェックします。その2つの結果を重ねて、レーダーチャートで表したのか下の図の「入浴スタイル分析図」です。
分析と判定、アドバイス例

○夫婦の「入浴スタイル」
橙色の図形がママです。基本の入浴スタイルは、家族や夫婦で一緒に入り、おしゃべりしたいのですが、一人で入りたい時もあり、気分次第で変わるスタイルです。入浴後はダイニングやリビングで団らんを好み、性格は好奇心旺盛タイプです。
青色の図形がパパです。入浴スタイルは、効率的な洗い方をする、何もせずにボーッと湯船に浸かります。寝る直前に入浴するスタイルです。性格は堅実タイプです。
○浴室の空間特性
緑色の四角形で表した浴室の空間特性は、合理的、シンプル、人工的がキーワードになります。理由は、汚れが落ちやすく、カビが発生しにくい、繊維強化プラスチック製の内装だからです。また、窓は、プライバシーをある程度守るために腰窓になっているからです。
○判定
夫婦が選んだ浴室は、ママよりも、パパが望む入浴スタイルに合っています。
○アドバイス

上の写真は、ママの入浴スタイルに合わせた場合の浴室イメージです。この空間特性は、解放的、軽快、変化がキーワードになります。
夫婦が選ばれた浴室イメージを大切にしながら、ママの要望に近づける方法は、浴室と敷地境界の間を浴室専用テラスとし、目隠し塀で囲むことです。
湯船の上部から窓にすれば、テラスに置いた観葉植物や好きなアートが楽しめます。加えて、大理石模様パネルを自然素材の模様に変えるとより効果的です。
コストアップは、業者次第!

個人の入浴スタイルに合わせた浴室づくりでは、コストアップが気になるところです。
例えば、大手ハウスメーカーの規格住宅や中小メーカーの企画住宅では、標準仕様を変更すると高額な追加料金を請求されます。
しかし、注文住宅を得意とする地場工務店では、実費だけのアップで対応する会社も少なくありません。工務店と一緒に検討すれば、いろんなやり方が見つかります。
先ずは、何のため、誰のためのお風呂かを考えることから始めましょう。
まとめ

本記事のまとめです。
1.後悔したくないこと
2.浴室チェックの3つのポイント
3.入浴スタイル分析法の紹介
4.入浴スタイル分析法によるチェック事例
5.コストアップは業者次第!
後悔しないお風呂は、浴室チェック!「入浴スタイル分析法」でつくれます。なぜなら、家族それぞれの「入浴スタイル」が実現できるからです。
共働きの家庭が急増している現在、心身をリセットできる浴室の重要性が増しています。
『入浴スタイル分析法』を学ぶと、ストレスを減らすための浴室のデザイン、設置場所や個所数、インテリアなどを、正しく、判断できるようになります。
例えば、夫婦の性格の組み合わせによっては、家族室(LDK)ゾーンと寝室ゾーンの2ヵ所に浴室を設置します。
前者は軽快で解放的なデザイン、後者は閉鎖的で伸長なデザインにするなど、その人にとっての「居心地の良さ」を追及することが大切になります。
これからのストレスフリー住宅は、ストレスを減らす浴室なしでは、成立しないのです。