
家族の絆を深める行動を起こすきっかけは、人ではありません。実は、LDK自体がその行動を誘発させるのです。やる気よりも、行動を起こしやすい環境が人を動かします。今回は、家族の絆を深める行動を促すLDKの仕組みについて説明します。この方法を実践すると、家族の絆づくりに対する不安が、実際の手ごたえに変わります。
目次
前回の記事「住宅のLDKの役割は生活の羅針盤」の振り返り
LDKの役割は、家族の絆を深め、家族を維持することです。その構成要素は以下の5つの機能です。
1,生理的安定
・必要最小限のスペースを確保する適さを確保する
2,性能的安定
・安全性、快適性の確保する
3,情緒の安定化
・家族が安心して過ごせる環境を提供する
4,相互扶助
・家族がお互いに助け合い、支え合うことを促進する
5,子供の社会化
・子供が社会的なスキルや価値観を学ぶ場となる

これらの機能をチェックすることで、現在の状況を把握し、改善の方向性や目標を示すことができます。このように、LDKは生活の羅針盤としての役割を担っています。
しかしながら、スペースやモチベーションがあっても、活動がうまくいかず、家族の絆づくりに不安を感じる人も少なくありません。
家族の絆を深める行動を起こさせるLDKの仕組
目標を設定し、達成しようと決心しても、うまくいかないことはよくあります。成功するかどうかは、やる気の問題ではなく、実際に行動したかどうかにかかっています。家族の絆づくりの悩みも同じです。
このような問題を解決する際に参考になるのが、スタンフォード大学の心理学者B.J.フォッグ博士が提唱した行動変容理論「B=MAPモデル」です。この理論では、「モチベーションよりも容易性で人は動く」とされています。

やる気があっても行動に移せないのは、行動を阻害する原因が環境にあるからです。逆に、モチベーションが低くても、行動しやすい環境が整えば行動を起こします。これにより小さな成功を得ることで自信がつき、次のステップへのモチベーションも高まっていきます。
このB=MAPモデルを応用して、前述の5つの行動を起こしやすい環境に調整すると、家族の絆を深めることが可能になります。
※詳しい説明はイエケンプログ「意識より先に生活習慣を変える!B=MAPモデルの住宅・家づくり」を参照
LDKの具体的な環境調整のポイント
「情緒の安定化」では夫婦間の不満解消、「相互扶助」では家族で料理を作って食べる、「子供の社会化」では安全基地づくりなど、行動を起こしやすくする環境を整えることにフォーカスします。

「容易さ」のキーワードは「探す」と「移動する」です。この手間を減らせば行動を促進し、逆に増やすと行動を妨げることができます。
調整対象はLDKの位置、広さ、インテリア、内装、家具、および備品です。LDKの調整機会には模様替え、改装、新築がありますが、多くの場合、模様替えで対応できます。
家族の絆を深める行動の容易性探索プログラム
先ずは、前回記事「住宅のLDKの役割は生活の羅針盤」の振り返りです。
自分の家族に合うLDKの役割探索プログラム
1ステップ:性格診断をする
始めに、夫婦の性格判断をします。パーソナリティ、価値観、スキルなど、診断結果を互いに発表しながら、夫婦の違いを知り、受け入れます。
2ステップ:現状分析をする
3ステップ:課題を洗い出す
4ステップ:目的を明確化
5ステップ:機能目標を設定する
要素(テーマ)ごとに、機能目標を具体的な生活場面に置き換えます。これに期限や具体的な行動計画を含めるとより実現しやすくなります。

行動を起こしやすいLDKの仕組み探索プログラム
テーマごとの行動を起こしやすくするLDKの仕組をつくる手順は以下の通りです。
1.性格診断の再確認
2.目標とする生活場面の再確認
3.行動を促進する要素をB=MAPモデルで具体化する
・改善行動の明確化と容易化のアイディアだし
・間取り、インテリア、家具、什器備品の見直し
・容易化のキーワードは、「移動しない」「探さない」
4、期待効果を予測し、対策案を絞る
5,仕組みをLDKの設計条件としてまとめる
事例対策例
対策の評価ポイントはひとつ、確実に成功の手ごたえが掴めることです。そのためには対策に手間がかからないことです。ここでは食事による家族団らんについて、小さいことから始める対策と家以外で行う代替え対策を説明します。(下図のB=MAPモデルを参照)

小さいことから始めて徐々にステップアップしていく方法
1ステップ:顔を見せる、
2ステップ:声をかける
3ステップ:同じ行為をする(飲食する)
4ステップ:料理や片付けを手伝う
5ステップ:家族皆で作って、楽しく食べる
家以外でする代替え案
1,里帰りした実家で郷土料理を作る
2,体験イベントに参加する
3,親子で料理体験会
まとめ
家族の絆を深める行動を促すのは人の意識ではなく、LDKの容易性です。人の意識は見えませんが、LDKの環境調整は見える形で確認できます。効果は行動を起こしたかどうかで測ることができます。また、行動を起こさない原因を人ではなく環境に求めることで、人の心を傷つけることなく解決できます。環境調整による問題解決は、実践的で有効な手段です。
B=MAPによる家づくりは、家族づくりと思い出づくりを兼ねた優れた手法です。

以下に、この記事をまとめました。
1, 前回の記事の振り返り: 住宅のLDKの役割
LDKの役割は家族の絆を深め、家族を維持すること。その構成要素は「生理的スペ―スの確保」、「性能による安全・快適性の確保」、「情緒の安定化」、「相互扶助」、「子供の社会化」の5つ。
2, 家族の絆を深める行動を起こさせるLDKの仕組み
「モチベーションよりも容易性で人は動く」というフォッグ博士が提唱した行動変容理論「B=MAPモデル」を採用すること。
3, LDKの具体的な環境調整のポイント
夫婦間の不満解消行動や家族全員参加型の家事行動、安全基地行動など、行動を起こしやすくする環境を整えることにフォーカスします。「容易さ」のキーワードは「探す」と「移動する」で、この手間を減らせば行動を促進し、逆に増やすと行動を妨げることができます。
調整対象はLDKの位置、広さ、インテリア、内装、家具、および備品です。多くの場合、模様替えで対応できます。
4, 家族の絆を深める行動の容易性探索プログラム
1ステップ:性格診断の再確認
2ステップ:目標とする生活場面の再確認
3ステップ:行動を促進する要素を見つける
4ステップ:期待効果を予測し、対策案を絞る
5ステップ:LDKの設計条件としてまとめる
5,食事による団らんの対策事例
小さいことから始めて徐々にステップアップしていく方法と家以外でする代替え案の紹介
以上