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風前の灯火なんて言わせない。着物の逆襲

5月10日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、ふらりと「銀座もとじ」の暖簾をくぐった。

世界のトップが着物屋に現れるとは、着物の神さまも「そろそろ日本も本気出せや」と笑ったに違いない。

 

なにしろ純国産の着物は、いまや風前の灯火だ。このままでは、日本文化という宝石箱の底が、するりと抜けかねない。

 

そんな時に妙に沁みるのが、NHK時代劇『あきない世傳 金と銀3』。

売れない時代に、呉服屋の女将が知恵と工夫で商いを立て直す姿が、なんとも粋である。

劇中の「買うての幸い、売っての幸せ」という言葉は、今の呉服業界にもそのまま響く。

 

そこで、女将になったつもりで、着物を未来へつなぐアイデイアを考えてみた。

今の暮らしで、多くの人が気にしているのは健康管理、とくに生活習慣病、自律神経の乱れが原因だという。

医師たちが勧めるのは、忙しい暮らしではなく、「規則正しく、丁寧に暮らす」こと。

とはいえ、その“丁寧な暮らし”は、なかなか難しい。

 

……はたと、気が付いた。

「規則正しく丁寧に暮らす」とは、着物の真髄ではないか。

 

着物をまとうと、動きは自然とゆっくりとなる。呼吸は深くなり、姿勢が整い、少しだけ心も静かになる。

着物の非日常が、心の余裕を生む。着物とは、単なる衣服ではなく、暮らしのリズムを整える“ウェアラブル文化装置”なのだ。

 

さらに、着物の精神を受け継いだ「家着」があれば面白い。

簡単に着られて、所作が美しく見え、心まで落ち着く。

そんな“日常の着物”が広がれば、「丁寧な暮らし」はもっと身近になる。

たとえば月に一度、「丁寧に暮らす日」を作る。スマホを少し置き、季節の音を聞き、着物をまとう。それだけで、不思議と暮らしのテンポが変わる。

 

俳優やミュージシャン、スポーツ選手が、着物を着て、それぞれの「丁寧な暮らし」を語り始める。

医師が予防医学としての有効性を語れば、庶民も「ちょっとやってみようかな」と動き出す。

AIがその声を拾い、小さな共感を文化へ育てていく——そんな未来も、案外ありえる。

 

これがやれるのは、やはり「銀座もとじ」だろう。

NHK時代劇『あきない世傳 金と銀3』、5月24日(日)が最終回。

 

(2026.5.18 会いたいねえ、佐々木店長さん)

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