
心を入れ替えないと行動は変わらないと思っていませんか?実はそうではありません。意識よりも先に行動を変えることができます。B=MAPモデルの家づくりは今の生活習慣を変えることが可能です。今回は、B=MAPモデルの住宅の仕組みと効能について詳しく説明します。活用例を読めば、この住宅・家づくりへの期待が高まる理由がわかります。
目次
そもそもB=MAPモデルとは?
「モチベーションよりも容易性で人は行動する」という言葉は、スタンフォード大学の心理学者であるB.J.フォッグ博士が提唱した行動変容理論で、「B=MAPモデル」として知られています。この理論では、人が行動を起こすには、「モチベーション」「能力・容易性」「きっかけ」の3つの要素が同時に揃う必要があります。その中でも、行動を促す上でモチベーションよりも行動の容易性がより重要です。つまり、「やる気」よりも「行動を起こしやすい状況」が人を動かす要件なのです。
やる気より「できるかできないか」で人を動かすB=MAPモデル
下の図は、きっかけ、モチベーション、容易性と行動変容の関係を示したものです。この図を使って、行動変容事例を説明します。自分の体験と重ねてみれば、B=MAモデルが理解しやすくなります。

下の段は、初めてチャレンジする行動の場合です。偶発的に起こる行動なので、きっかけは弱く、未体験行動への抵抗感もあり、モチベーションも低い傾向にあります。しかし、行動のしやすい環境が整えば、行動を起こします。このことによって小さな成功を得ることで自信がつき、ステップアップへのモチベーションも高まっていきます。
上の段は、習慣行動の場合です。定期的にきっかけがあり、頻度も高くなります。このような行動は様々なスキルを使えて飽きにくく、高い快感をもたらすため、モチベーションが非常に高くなります。それでも、行動を習慣化させるためには、行動のしやすい環境が重要です。例えば、ゲーム依存の原因は、ゲームのスイッチを入れるだけで始められるという超容易性にあるからです。
生活習慣を変える住宅・家づくりプログラム
人はより良く、より幸せで充実した生活を送るためにマイホームを建てますが、家を建てただけでは幸せにはなりません。健康や家族関係、家計など、生活には様々な問題や欲求が発生します。このストレスを解決するためには、改善行動を起こす必要があります。
B=MAPモデルでは、この改善行動を早く、確実に起こすためには、意識改革よりも環境調整が有効だとします。そして、家づくりはこの環境調整において大きな役割を果たします。
下図は、生活習慣を変えるための家づくりプログラムです。

環境調整としての家づくりには、新築、改築、模様替えがあり、間取りやインテリア、家具・備品などが調整要素になります。特に、模様替えは家具レイアウトの変更や備品の工夫によって、身近な問題を解決するための改善行動を促し、小さな成功を実感することができます。例えば、ハンディ掃除機を各自の個室、LDKの片隅に置くだけで、家族の自主的な掃除が増えてきます。
このプログラムを使えば、「悪い習慣を止める」「自分の良さを発見する」「良い習慣を取り入れる」など、生活の改善行動を誘発する役割を、住宅建物自体が担います。これにより、問題が解決され、ストレスフリーな生活が可能になります。つまり、生活習慣を変えられる住宅の誕生です。

生活習慣改善の行動誘発の仕組み
行動誘発の基本的な仕組みは、「きっかけ」「容易性」「モチベーション」の管理にあります。特に、「容易性」の要素は、準備から片付けまでの探索や移動行動を間取り、インテリア、家具備品などを活用して制御することが重要です。さらに、これらの要素は個々の人々によって異なるため、性格、価値観、および能力などを考慮する必要があります。
進め方は、まず生活満足の現状を分析し、優先すべき欲求行動を特定します。次に、その行動をB=MAP図にマッピングして可視化します。最後に、この図を基にして行動誘発のメカニズムを検討します。
行動誘発の3つの事例
下記のB=-MAP図を使って、行動誘発の3つの事例を概説します。
ケース1.習慣を止めたい!

ケース1は、着替えもせずにリビングにあるゲームに夢中になってしまう状況です。帰宅時がその誘因となるため、これが頻繁に起こります。ゲームプログラムは刺激的な快感を提供するため、モチベーションも非常に高く保たれます。また、リビングにゲーム機器があることで、これが容易になっています。
基本的な対策は、移動の手間を増やすことで、機器をリビングから離れた着替え室に配置することです。
ケース2.自分の良さを発見したい!

ケース2では、自己発見のプロセスが焦点となります。妻は従順で責任感が強く、一人で問題を抱え込む傾向があります。一方、夫は真面目で観察力があり、求められない限り行動に移らないタイプです。契機は、体調を壊していた妻から「食事を作って」という頼みごとがありました。夫はもともと料理に興味があり、そのモチベーションは一定程度高かったようです。結果的に、初めての夫の料理は家族から高い評価を受けました。
この問題に対する基本的な対策は、コミュニケーションと生活のレイアウトの改善です。具体的には、夫が問題の発生を直に知覚できるように部屋の配置を変更し、妻が欲求や要望をはっきりと伝えやすい環境を整えることが重要です。また、妻が自分だけのキッチンから家族全体が参加できるアイランドキッチンへの改装も検討されます。
ケース3.習慣にしたい!

ケース3では、37歳の夫が高血圧と軽いうつ病で通院治療中です。共働きの夫婦であり、規則正しい生活を維持することが治療の重要な一部ですが、スケジュールの調整が難しい状況です。さらに、住まいは手狭で日当たりも悪く、健康的な環境とは言えません。このような環境下で子供たちの明るい笑顔も見られなくなっています。
この問題に対する抜本的な対策として、冬の朝日が差し込む2階にダイニングキッチンがある住宅を利用することが考えられます。これによって脳内時計が活性化し、生活にリズムが生まれるでしょう。さらに、朝日が差し込む環境での朝食は家族を笑顔にし、前向きな気持ちにさせる効果が期待できます。
家族関係が悪化しないB=MAPモデルのアプローチ
B=MAPモデルでは、モチベーションよりも行動の容易性が行動誘発の主要な原因だとします。この視点から家庭内の関係、特に夫婦関係の悪化を防ぐためには、生活の不満や不安を性格や価値観、能力に帰することなく、相手を傷つけるような言葉を避けることが重要です。このような否定的な言葉が繰り返されると、夫婦関係は悪化し、深刻化し、最終的には夫婦危機に至る可能性があります。

B=MAPアプローチを使えば、期待通りの行動が起きなかった場合には、人を傷つける言葉を避けることができます。たとえば、「料理が下手」「整理整頓ができない」「片付けない」といった問題が生じた際には、相手や自分の性格や能力を責めるのではなく、代わりに「探すことが難しい」「移動するのが不便だ」といった行動に焦点を当て、どのようにすれば行動しやすくなるかを共に考えることになります。
さらに、生活習慣の改善に成功した場合には賞賛し、うまくいかなかった場合には再度考えることで、行動を促進する助けとなります。このようなB=MAPアプローチが家族内の「ルール」となれば、家族関係の悪化を防ぐことができます。
まとめ

生活習慣を変えるB=MAPモデルの住宅・家づくりについて、以下にまとめました。
1. B=MAPモデルの紹介
・モチベーションより容易性で人は動かす
・B=MAPモデルの図解
2.生活習慣を変える家づくりプログラム
3.具体例による生活習慣を変えるポイント
・習慣を止める、自分の良さを発見する、習慣にする
4.B=MAPモデルのアプローチは家族関係を悪化させない
家族の生活の核である住宅が果たす最も重要な役割は、家族関係の改善と維持です。"B=MAPモデル"によれば、意識改革よりも行動を改善しやすい環境・住まいを整えることが不可欠です。住宅が、心の内側よりも先に行動を変える力を持つのです
以上