
「少ない時間でも、愛情不足を改善する方法を知りたい!できれば、子どもの安全基地の作り方や家づくりのことも」こんな悩みに建築士が答えます。本記事では、精神科医ボウルビィの「愛着理論」、心理学者エインスワースの「安全基地」を使って、少ない時間でも子供に届く愛情の伝え方と、安全基地の作り方を詳しく解説します。
✔本記事のテーマ
愛情不足を心配する働くママやパパに読んでもらえば、少ない時間で、愛情を子供に伝える方法と、安心基地・居場所の作り方を知ることができます。
愛着理論に基づいた家に住むと、子供の社会性や情緒的な安定を促すだけでなく、働くママのストレスも減らすことができます。
✔本記事の内容
1.愛情不足のサインチェック
2.短時間でも、伝わる愛情
3.リビングは子どもの安全基地
4.成長に合わせた居場所づくり
5.人生に影響を与える愛着障害
6.まとめ
なお、この記事を書いている私は、一級建築士歴40年、コンサルタント歴20年、2015年から住宅雑誌「月刊住宅ジャーナル」に、コラムを連載中です。これまでの経験を活かして、丁寧に解説します。
1.愛情不足のサインチェック

多くの働くママが、「子供に寂しい思いをさせて、愛情不足になっているのでは?」と、心配しています。先ずは、愛情不足かどうかをチェックしてみませんか。
※ママと離れるときの子供の状況にあう番号を選んでください。
①育者と離れると混乱を示すが、養育者が戻ってくると落ち着くことができる
②養育者と離れると混乱し、養育者が戻ってきてもネガティブな感情を引きずる
③養育者と離れても混乱せずに、距離を置く傾向がある
④養育者といても抵抗や回避が混ざり、無気力感や不安感を示す
①は愛情が足りている安定型で、全体の6割。残り3割が②不安型、③回避型、④混乱型で、愛情が不足している状態だと言われています。しかし、愛情不足になっていても、心配はいりません。子供と接する時間が少なくても、ママの愛情を子供に伝える方法があるからです。
2.短時間でも伝わる愛情

発達心理学の専門家、武蔵野大学教育学部の斎藤慈子講師は、一緒にいる時間が短くても、子供に愛情を感じてもらうことはできるといいます。
・・・そのポイントとは、子供の要求やサインにしっかり応答すること。ママの方から働きかけるのではなく、あくまで子どもの呼びかけに応えることが大切です。
『ママは何かあったときにきちんと助けてくれる人だ』から始まり、そのうちに、子供の方からママに抱きついてくるようになります。そうして徐々に、『ちょっと離れてもママは必ず戻ってきてくれる』ということを子供がわかってくると、ずっとべったりということはなくなります。
このようなコミュニケーションの中から愛着が生まれ、子どもに社会性や情緒的な発達が促されていきます。
「愛着」は母親をはじめとする養育者を安全基地として、子どもが自分で世界を広げるように動くある種の装置だと捉えています。・・・
(出典:BRAVA 時間がない!ワークママの子どもは愛情不足より抜粋)
https://brava-mama.jp/2015080369721/
3.リビングは子供の安全基地

安全基地とは、いざというときの頼みとなり、守ってもらえる居場所です。幼児が不安になったときに駆けよる「ママ・パパ」など、安全の拠り所、心の支えになる存在ですね。
安全基地に求められるのは、子どもが親に向かって、見て、聞いて、一緒にやって、眠りたいなどの要求やサインを出せること、パフォーマンスできること、パパとママに見てもらえることの3つです。
また、居場所としての空間条件は、以下の4つです。
○安全な避難場所:恐怖や脅威の際に養育者の所に戻れる
○安全基地:安全で頼りになる基地から外部へと探索ができる
○近接性の維持:養育者がいる近く
○別れる苦しみの緩和:養育者不在による不安のケア
ママとパパの観覧席は、アイコンタクトがとれるキッチン、ダイニング、リビングです。
子供が親に見せたいのは、保育園で習った縄跳び、踊り、お絵かきなど。一緒にやりたいのはゲームやボール蹴りなどで、リビングやダイニングテーブル、階段などがパフォーマンスの舞台になります。子供が保育園を卒業するまでは、リビングにソファやテーブルを置かなければ、舞台として使えます。また、道具や準備室はリビング階段下のスペースなどを利用します。
4.成長に合わせた居場所づくり

子どもの居場所づくりで重要なことは、成長に合わせて作り変えていくことです。作ったままではいけません。なぜなら、自立心が育つ環境は子供の発達段階で異なるからです。また、居場所は子供室とファミリースペース内の二か所に設けることも重要です。以下に、成長期ごとの居場所づくりのポイントをまとめました。
1歳~8歳の居場所
母子分離不安にならない「心の安全基地づくり」が目的です。遊び中心から始めて、自分で身の回りのことができ、友だちとの遊びや学習へと広げていきます。家族コミュニケーションが重要なので、居場所はファミリースペース内に作ります。子供室は就寝や着替え、予備の遊び場とします。
9歳~15歳の居場所
思春期は居場所を作り変える絶好の機会。テーマは「自分らしさ」です。第二反抗期を乗り切るためには、子離れ・親離れを進めるイベントが必要になります。
私の提案は、子供の13歳の誕生日に、「自分の居場所を自分でつくる権利」を親がプレゼントすることです。子ども室の使い方やインテリア家具など、すべて子どもに一任します。ただしドアは鍵なしとします。ファミリースペース内では、新たな親子関係づくりにチャレンジします。家具のレイアウト、食卓の席替えなども、家族で見直します。
16歳以降の居場所
「大人としての居場所づくり」が青年期のテーマ。大人としてのマナーを学ぶ時期です。また、受験勉強を中心とした生活では、集中・休憩・気分転換・発想の転換などの切り替えが不可欠です。子供室とファミリースペースの役割を含めて、家族との話し合いで決めていきます。
5.人生に影響を与える愛着障害

愛着障害とは、母親をはじめとする養育者との間で、幼少期に安定した愛着を深める行動が断たれたことで引き起こされる対人面や情緒面での問題症状のことです。
対人関係が不安定、感情の起伏が激しい、他者とのつながりを持とうとしない、もしくは過剰に求めるなどがあげられます。子どものときだけでなく、大人になっても症状が続くことがあり、自己肯定感や基本的信頼の欠如など、人生に大きな影響を与えると言われています。
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6.まとめ:家そのものが安全基地!

本記事をまとめました
○愛情不足のサインチェック
○短時間でも、伝わる愛情
○リビングは子どもの安心基地
○成長に合わせた居場所づくり
○人生に影響を与える愛着障害
子どもと接する時間が少ない働くママにとって、子どもへの愛情不足は大きな気がかりです。どんなときでも、「大丈夫だよ」と、安心感を回復させてくれる安全基地は、子どもにとっても、ママにとってもかけがえのない存在なのです。
競争と個人化が進めば進むほど、子どもだけでなく、大人にも安全基地が必要になります。「家そのものが安全基地!」が、これからの重要な住宅コンセプトとなります。
栗原はるみプロデュース【ゆとりの空間】
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