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熊本地震から10年。喪失は癒えるのか?映画『ハムネット』が教える別れのかたち

この4月で、死者275人の犠牲を出した熊本地震から10年が経つ。

突然の別れを、本当に乗り越えられた人は、いったい何人いるのだろうか。

先週、映画『ハムネット』を観た。息子を亡くしたシェークスピア夫婦が、その悲しみと向き合う物語だ。

夫は息子と同じ名を持つ戯曲『ハムレット』を書き、妻アグネスはその舞台を観ることで、荒れ狂う悲しみと痛みを少しずつ手放していく。

決定的なのは、死にゆくハムレットに「私に任せて。天国の門は必ず開くから」と、観客席のアグネスが手を差し伸べる場面だ。

それは、彼女自身が亡き息子ハムネットへ告げる別れの言葉でもある。

なぜなら、いとおしい人を死後の世界へ旅立たせることは、その人への思いを手放すことになるからだ。

何より、隣にいるかのようなカメラワークと俳優たちの演技には、観る者を画面の中へ引き込む凄みがある。

エンドロールが流れたとき、ふと、私が10歳のときに亡くした父の記憶がよみがえった。

これまで閉じ込めてきた思いを、ようやく手放せるのかもしれない。

第98回アカデミー賞(2026)で作品賞ほか8部門にノミネートされ、ジェシー・バックリーが主演女優賞を受賞した作品。(2026.4.13 )

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