
「したいのにできない」状況に陥るのは、解決方法が間違っているからです。効果的な解決策とは行動を妨げるものをより早く、より確実に除去することです。本質的な問題解決より先に、小さな成功体験が必要です。今回は、したいのにできない!の解決には、意識改革よりも、住まい改善が実践的で効果的な理由を詳しく説明します。事例を参考にすることで、生活の不満や不安を解消するヒントを見つけることができます。
目次
したいのにできないで、気まずくなる
いつもより遅く、保育園から子供と一緒に帰宅した働くママ。晩酌しながら、テレビゲームに熱中しているパパを見て、一言。
「着替えもしないで、もう缶ビールとゲームなの?」
「この前、キッチンの片付けを手伝うと言ったでしょ!」
「久しぶりに早く帰ってきたのだから、自由にさせろよ!」
「私のこと、どうだっていいの?」
「・・・・・・」。こんな経験ありませんか?

夫に家事や育児協力をしてもらいたい働くママ。やるべきことを簡単に済ませて、自分の時間を楽しみたいパパ。こんなことにならないためには、どうすればいいのでしょうか?
したいのにできない!の解決には住まい改善が実践的で有効策
「したいのにできない!」という悩みを解決するには、まず行動を妨げる要因を取り除くことが重要です。行動を阻害する要因には心理的なレベルと、「環境」の物理的なレベルがあります(下図参照)。
このような悩みを解決には、環境を改善することが最も実践的で、効果的です。実現行動を促すような住まいに整えることで、「したいこと」が実現しやすくなります。
根拠1.意識を変えるのは難しい
行動を妨げる心理的要因には、「能力がない」「モチベーションが高まらない」「自分の役割ではない」などがあります。(下図のNLL理論図参照)これらはNLL理論のⅢ、Ⅳ、Vに該当し、総じて「意識」と呼ばれます。

意識は、物事を計画し、意図的に行動する場合には重要な要因となりますが、習慣的な行動や反射的な反応にはほとんど必要ありません。さらに、意識は変わりやすく、目に見えないものです。一般的に、「意識を変えれば行動も変わる」と考えますが、意識を変えること自体が非常に難しく、行動を起こす前に挫折してしまう人が多くいます。
根拠2.環境は見えるし、変えやすい
人は時間や労力、お金がかかり過ぎると感じると、行動を起こすことが億劫になります。この現象は心理学では「コスト過敏性」、プロスペクト理論では「損失回避」と呼ばれます。
このような状況では、行動環境を改善して、移動や探索をしなくて済むようにすることが有効です。「これなら私にもすぐできそう」と思わせることで、人々は行動しやすくなります。環境を変えることは視覚的にわかりやすく、対処しやすいのです。
根拠3.有名な行動変容理論がある
「モチベーションよりも容易性で人は動く」という言葉は、スタンフォード大学の心理学者であるB.J.フォッグ博士が提唱した行動変容理論の一つで、B=MAPモデルとして知られています。

この理論に従えば、人が行動を起こすためには、「モチベーション」「能力・容易性」「きっかけ」の3つの要素が同時に揃うことが必要になります。特に、行動を促すためには、モチベーションより行動の容易性が重要です。つまり、「やる気」よりも「行動を起こしやすい状況」が人を動かすポイントになります。
根拠4.自分や相手を傷つけない
叱るときに「能力がない」「やる気がない」「自覚が足りない」などと言うと、人格を否定されたと感じて傷ついてしまいます。したがって、叱るときは環境や周りの状況に原因を見つけ、ほめるときは人格を認めることで、人は伸びると言われています。
住まいの改善による解決は、期待する行動ができない原因を人の性格や価値観、能力のせいにするのではなく、環境に求めることです。これにより、人を傷つけることがありませんから、夫婦喧嘩に発展しにくくなります。このように環境を整えることで、より良い人間関係を築くことができます。
対策事例
冒頭事例での課題は2つ。夫婦喧嘩にしないことと、したいことをできるようにすることです。
夫婦喧嘩にしない
夫婦喧嘩に発展させないための行動は、以下の3つです。
- 期待する行動ができなかったときは、とにかく、5秒間待つ
- 行動を阻害するものは人ではなく、環境にあることを思い出す
- 移動や探す手間がかかる原因を一緒に考えようと提案する

したいことをできるようにする
パパが家事や育児に協力しやすくするため、またママが快適に家庭生活を送れるように、B=MAPモデルを使って住まいを改善する一例をご紹介します。パパは気分屋で好奇心旺盛な性格、ママはしっかり者として、以下の改善策を考えました。
ママがパパに期待する行動は4つ
期待する行動は「きっかけづくり」「着替え」「食器洗いと片付け」「子供の相手」の4つです。
- きっかけづくり
お互いに「今から帰るメール」を送り合うことで、帰宅後の協力体制を整えます。これにより、帰宅後すぐに協力して家事を始められるようになります。
- パパの子供の着替え対策
帰宅後、リビング内で着替えができるようにします。これにより、すぐにリラックスできる環境を整え、パパも気持ちよく家事に取り掛かれます。

- 並行作業で食器洗いを楽しくする
キッチンで、ゲーム画面と晩酌を楽しみながら、食器洗いと酒の肴づくりに挑戦します。ビールとつまみをセットにしたウッドトレーを用意します。このやり方なら、パパも楽しく家事をこなせます。
- 子供の相手をする
子供と一緒にゲームをする時間を作ります。また、子供が一人で着替えたり遊んだりできる「基地」を作ります。これなら、子供とのコミュニケーションを取りながら、パパも楽しみつつ育児に参加できます。
行動を起こしやすくする間取りと家具の改善案
まずは食卓をジャイアントテーブルに変えて、多目的に作業ができるダイニングとします。これにより、家族全員が同じ場所で様々な活動を楽しめます。次に、リビングのソファーをなくし、夫と子供のロッカーを設置して、子供の安全基地を作ります。この改善によってLDKのスペースを有効活用し、家族のための行動がしやすい環境に整えます。
このように、個々の志向性に合わせた環境を整えることで、家事や育児の協力がスムーズに進み、家族全員が快適に過ごせる住まいを実現できます。
まとめ
「したいのにできない」という状況に対する効果的な解決策は、住まいの改善にあります。意識や価値観を変えることは難しいですが、行動しやすいように環境を物理的に整えることは比較的容易で実践的です。

以下に、住まい改善が有効な理由と具体的な対策をまとめます。
1.住まい改善が有効な理由
・意識を変えるのは難しい
・環境は見えるし、変えやすい
・行動変容理論B=MAPモデルの活用
・自分や相手を傷つけない
2.夫婦喧嘩にしないための対策例
・期待する行動ができなかったときは、5秒間待つ
・行動を阻害する要因は環境にあることを思い出す
・移動や探す手間がかかる原因を一緒に考える
3.帰宅時のしたいことをできるようにする対策例
・帰宅前に「今から帰るメール」を送り合う
・ゲームと晩酌、食器洗いの並行作業に挑戦
・子供と一緒にゲームを楽しむ
・子供が一人で遊べる基地づくり
4.行動を起こしやすくする住まいの改善案
・食卓をジャイアントテーブルに変えて、多目的に作業ができるダイニングにする
・リビングのソファーをなくして、夫と子供のロッカーを設置して子供の基地にする